なぜ「Forever My Girl」なのか?

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      Fiction Issue: Interview with Clint Woodside x Dan Monick about “Vineland”

      6月初旬、中目黒のギャラリーVOILLDでLAの写真家による二人展“Vineland”が開催された。時が止まったような寂しさとアウトサイダーな雰囲気を持った街だ。

      気持ちの赴くままに惹かれた対象を撮るということ。さらに、タイムラインのスピードで全てが流れていくかのような今日において、それぞれにインディペンデントな出版レーベルを運営するふたりに、LAの出版業界の現状からSNSとの向き合い方を聞いた。 ——今回の展示プロジェクトが生まれた経緯を教えてください。 Dan「俺は田舎で育って、ロサンゼルスに移ってきて15年くらいになる。ここは魅力的な場所とは言えないし、住人もあまりいい印象を与えるような感じじゃない。俺は、ここで感じる独特な雰囲気に焦点を定めていたんだ。

      そもそも俺たちは、何か変わった場所を撮ろうなんて考えてなかったし、計画やアイデアも敢えて決めなかった。何か形があるものだったり、何かを完成させるような物質を探していたわけではなく、もっと本質的で精神的な何かを探していたんだよ。ここはロサンゼルスの一部であるけれども、ロサンゼルスではないーーなんというか、双子みたいなものかもね。

      ここにいる人たちは他に比べて信じられないくらい違う。休暇が取れたからここにドライヴに出かけよう!』ってことにはならないな。地理的にも、物理的にもロサンゼルスなんだけど、全く別の場所。別にみんなのロサンゼルス像を変えようとしているわけではない。

      ただ、俺たちはこの場所が持つ不思議な魅力を見せたいんだ。

      Dan「俺はこの場所に何度も来たことがあるんだけど、Clintはほとんど来たことがない。二人とも似たような撮影をしているのが面白いよね。

      二人にはいろんな共通点があるけど、彼は俺と同じことを感じているんだなって、言語化できない不思議な感覚を覚えるよ。 Clint「今回の撮影を通して、お互いへの理解や共有することの素晴らしさを学んだ。

      誰が撮ったからとか、誰が好きだからとか、そのようなことよりも良い作品を作っていこうということに集中した。 Dan「そう!共通点がある俺たちだけれども、やはり挑戦でもあったと思うよ。俺は長い間あの場所に足を運んでいたけれども、まだどのように表現したら良いのか分からない。街との関係は本当に全く違うけど、制作のスタート地点は確実に同じ場所からだったね。

      Clint「写真集に関しては、最初に二人で同じ数の写真を出すことに決めて、そこから選んだ。

      最終的に60枚の作品が必要だから30枚ずつに分けた。(写真集をめくりながら)これがDanの写真でここに郵便ポストが写ってるよね。

      同じ郵便ポストが違う角度からそれぞれの写真に写されている。

      そして、このDanの写真と俺の写真が境目になっていて、前半がDanの作品、後半が俺の作品になっている。


      それで、そのアイデアを今回の展示にも用いることにした。レイアウトに関しては、どうしたら興味深く且つストーリー性を見せられるかというところに重点を置いた。オレは大きく繋がるようなラインが好きで、色々と試行錯誤したよ。展示には10~12枚の作品が必要だったから、写真を現像してから床に並べてどの作品を展示に使うか決めたよ。座って眺めたり、大切な友達を集めて見てもらったり。

      ただ、シンプルに床に並べた写真を動かしたり、眺めたりして、最終的に『これだ!』って瞬間が来るまで色々と試行錯誤したんだ。

      ——ふたりは元々『Vineland』のような写真を撮っていますよね。

      俺は、この世の中で俺たち人間が作り上げてきたものを見せていきたいからなんだ。

      人間の中で渦巻く感情と社会の動きを『モノ』を通して見せたいと考えている。

      例えば、この写真に写っている郵便ポストを見る時に感じることと、壊れてる郵便ポスト、または綺麗でパーフェクトな郵便ポスト、またはお店に置いてある郵便ポスト、全てにおいて違う感覚を得ると思うんだ。

      俺は常にその郵便ポストと繋がりのある人間だったり、その周りに存在するものだったり、そんな『モノ』の背景に存在する感情や動き、ストーリーなどを捉えようとしている。

      俺にとって『モノ』は人々のポートレイトを撮っているのと同じなんだ。

      人間が日々残し続ける跡とか、例えば、この看板を見て、誰がこの看板の下を通ったか、誰がこの看板を見たのか、誰がこの看板が立ててある場所に眠っていたのか、この場所で何が起こったのかとかね。

      俺の本職はポートレイトを撮ることなんだけど、たまに人間の存在しないポートレイトを撮ると、とてもリラックスできて好きなんだ。

      ちろん、人間のポートレイトを撮ることもとても好きだけれど、例えば看板は瞬きしないし、難しくもない、そんな『モノ』を撮るときはなんだか気をうまく抜けるんだ。

      人間を撮るときは色々な感情がエネルギーとして出されてるからさ。 Clint「一番大切なこと、それは人間が全ての作品と繋がりがあるということ。この写真に写っている看板のことではないことだよ。「LAのセルフパブリッシング事業はどんどん大きくなっていて、より多くの人たちが自費出版でzineや本を出していると思う。実際に、俺はまだコピー機を使って印刷して、手で折って、ホチキス止めでzineを作ったりもしているんだ。

      いろいろな人がzineの作り方について聞いてくることがあるけど、俺がまだ実際にそうやって手を使ったやり方でzineを作ってるのを滑稽だと思ってる奴もいるけど、その後に本の作り方について聞いてきてどれだけお金がかかるか教えると、びっくりしてちょっと怖気づいてるのがわかるんだ。

      Clint「例えば一日中スマートフォンをスクロールしてインスタグラムを眺めているのは、座ってじっくりアイデアを出し合って、全ての写真をテーブルの上に並べて眺めることほど興奮しないと思うんだよね。

      流れてくる写真を座って見ながら、それについて話すことに時間を費やすなんて俺らしくないしね。

      ちなみに俺の写真はインターネット上ではうまく魅せられないんだ。

      ふさわしい環境に身をおいて座って、その時間を設けて見るってことも写真には含まれてるだろうから。そうやってじっくりと時間をかけて作ったり楽しんだりする時間やそこで生み出されるものを欲している。

      Dan「俺はいつでもインスタを辞めることが出来るよ、100%ね。

      インスタは今や1つのコミュニケーションツールの1つで素晴らしいものなのも分かっているんだ。

      今日だって、たまたま街で出くわした若い子が、突然iphoneを取り出してインスタグラムを見せてきたんだ。

      そこでインスタを通してコミュニケーションが産まれたことが最高にクールだな、と思った。だけどそれと同時に、それはなんでもないことのようにも思える。どんなことだってやり遂げられる気持ちにさせてくれる。若い頃は仕事を抜け出して、欲しい写真集を探しに行ったりして、欲しかった本を見つけて『OMG!!』って本当に興奮してたよ。僕らはその流れの中に常に、そして永遠に存在するんだ。

      Clint「インスタグラムは無料で、誰でも何でもかんでもあまり気負わず投稿できて、それをすぐにお披露目できる。インスタに投稿したこともある写真だって、写真集の1ページとして印刷されることでお金がかかってもいるし、この写真をこのページに入れるという考えに至るまでに、僕らは何度も試行錯誤したんだ。

      Dan「同時にインスタは本を作る術を知らなかったり、または場を持ってない人たちにそういった場を与えてもくれてるよね。

      例えば、今日道で出会った若者も、インスタグラム自体が彼の作品のショーケースのような役割をしていたり。 Clint「自分や自分の作品にとって、印刷されたモノであるのはとても大切だよ。ネットで見る作品は一瞬にして過ぎ去ってしまうけど、本だとゆっくり作品を見るし、自分の目の前でそれをしっかり消化することができる。作り上げることが大変であればあるほど、実際に出来たものが愛おしく感じる。またそれは限りあるものなので、最終的には本は売り切れになり、買えなくなる。そういう意味で特別で収集価値のあるものと言える。俺は自分が取り組む全てのプロジェクトにおいて少部数の本を作っている。

      本はそのプロジェクトが世の中にどう働きかけるのか、何が欠けているのかを推し量る素晴らしいツール。 Dan「業界云々ではなく、俺はとにかく本が好きだし、印刷物が好き。自分が楽しめるものを作れば、それで他の人も楽しんでくれると思っている。

      おり、本国アメリカ以外にもロンドン、スウェーデン、中国、ソウル、オーストラリアなど世界各地で作品、写真集が販売されている。


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